虫の説話 ~皿屋敷のお菊さんは、お菊虫になった~
虫の説話
中世の女性の間では、男から恋文をもらっても、それに返事しないと「七生、口無き虫に生まれる」などと言われた。
殺生の罪を犯せば、死後、畜類に転生し、人から金品を借りて返さずに死んだら、死後、牛馬に転生して使役されることで借りを返すことになる。
死後の者では、頼豪という高僧が死後、鼠となって仏経をかじりまくった。
源平の合戦のときに白髪を黒く染めて若作りして討たたれた斉藤別当実盛も死後虫となり、稲の害虫となった。
同様に、皿屋敷の下女お菊も虫となって、お菊虫と呼ばれる。
虫でも鬼でも、その報いの結果になるものと考えられた。つまり人間は鬼や天狗や幽霊ばかりでなく他の生き物にもなるわけだ。
『妖怪学の基礎知識』要約