ねずみの記録 ~妖怪が姿を潜ませた時代へ~
ねずみの記録 ~妖怪が姿を潜ませた時代へ~
斉明天皇の意志を継いで朝鮮半島へ出兵した日本軍であったが、白村江の戦いで大敗する(六六三)。
あとを受けた中大兄皇子は人々の反対をおして近江の大津に遷都する(六六七)。
この時にも不思議な現象が起こる。
遷都の前の年(六六六)冬に、京都の鼠が近江に向かって移動したと『日本書紀』にある。
京都というのは当時の都・明日香なので、そこから鼠が近江方面に移動したということである。
遷都の前兆に次の都に移動するということは以前にもあり、孝徳天皇が難波に都を移した時も鼠が移動し(大化元年六四五)、古老たちは、そろそろ遷都があるだろうと噂し合っていたという。
鼠などの小動物は異変を察知する予知能力があり、大地震などの天変地異の前に逃げ出すとかの異常な行動をとるという話は現在でも語られている。
天智天皇の崩御(六七一)の後、近江朝廷側と皇太子だった大海皇子(おおあまのおおじ)との間で、皇位継承争いの壬申の乱が起き(六七二年)、結果、大海皇子が勝利して、皇子は文武天皇として即位し、都は再び明日香に戻される。
天皇を中心とする本格的な律令国家が形成されてくる時代になる。
そのうなると妖怪も出にくくなったのか、姿を潜ませたようで報告が少なくなってくる。
※ 妖怪が出ずらい時代とは、人そのものが妖怪化してくるから、、、、(涙)です。
権力争いなどで、人間そのものが、、、、、。という事らしい。
『妖怪学の基礎知識』より