妖怪 ナマハゲと火斑(ひだこ)
ナマハゲと火斑(ひだこ)
カクレザトウの持ちを拾えば、裕福になるという言い伝えもある。
「神隠し」という語が示すように、これらの子供をさらう怪にも、どこかしら神の面影がある。
人の力の及ばぬモノのうち、祀られたモノが神となり、祀られぬモノが妖怪になったが、実際は、両者の境界線は淡いものであった。
こどもをさらう怪は家の周辺に現れたが、直接に家を訪れる怪もいる。
家に来る怪といえば、年取りの夜(大晦日)に家々を訪れる石川県のアマミハギや、青森県のヒカタハギがいる。「ハゲ」「ハギ」は「剥ぐ」の意味、「アマミ」「ヒカタ」は「火斑(ひだこ / 囲炉裏にあたつていると足にできる斑点)の意味である。
火斑ができるのは、怠けていることの表れであった。
それを罰するために彼らはやってきて、怠けものの足の皮を剥ぐのだという。
秋田県のナマハゲも、もともとは「ナモミ(火斑)」を「剥ぐ」モノの意味、岩手県のスネカも、「スネ 脛」にできた火斑を「かっちゃく(剥ぐ)」モノのことで、意味は同じである。
山形県のカセドリも、やはり「カセ」を取るモノの意味である。
これらは、妖怪の名称というよりは、行事の名称というべきであろう。
これらの怪は、年中行事のなかに取り入れられているので、ビジュアルとしてとらえることができる。
年末年始のニュースなどで見た方も多いであろう。いずりも、蓑を着て恐ろしい顔をした大男である。
妖怪のイメージというと、江戸時代の絵師による妖怪がを思い浮かべがちであるが、こうした民俗芸能のなかではぐくまれたイメージこと、重視すべきであろう。
『妖怪学の基礎知識』より
ナマハゲの意味を初めて知りました。こたつに入っていると「火斑」ができて、それができている者の足の皮を剥ぐ。
怠け者を戒める年中行事だったのですね。