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  1. 猪苗代城の妖怪・亀姫
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歴史ネタ帖

家の妖怪  ~黄昏時の危険~

家の妖怪

 夕方のことを「黄昏」時といいうのは「誰(た)そ彼(かれ)」時の意味である。

いまでは使われていないが、「彼(か)は誰(たれ)」時という言葉もあった。人

人の支配する昼の世界と、人ならぬモノが支配する夜の世界。

その接点にあたる夕方は、人とモノが交錯する危険な時間帯であった。

それゆえ、夕方を「逢魔(おうま)が時(魔に逢う時)と呼ぶこともある。

 子供が「神隠し」に遭うのもおおむね夕方であった。とくに夕方にかくれんぼをするのは危険で、カクシガミ(隠し神)やカクレザトウ(隠れ座頭)、カクレババ(隠れ婆)といった怪が子供をさらっていくという。

カマスオヤジ(叺親父)・カマスショイ(叺背負い)も同様の怪で、大きな叺(穀物などを入れる藁製の袋)に子供を入れて、どこかへ連れ去るという。

カゴショイ(籠背負い)もまた同じ。

これらの怪に遭わないために、子供は早くかえらなければならない。

おそらく、親がこどもを躾けるときににつかわれたのであろう。

 

 

夜道の気配  ~恐怖の具体化の妖怪~

タモトスズメ、オクリスズメ、オクリオオカミなどの怪は「気配」という得体の知れない抽象的なものを具体化したものである。

妖怪のなかには、抽象的な恐怖心を具体化することによって生じたものもいる。

オクリビ(送り火)は、火が人の跡をついてくるる怪。ミノムシ(蓑虫)は、雨の夜道を行く人にまつわりつく火の怪で、熱くはないものの、払えば払うほどひろがるので厄介である。

夜道を歩いているときに、灯りが消えて視界をうばわれることは脅威であった。

視界を奪うのはヌリカベ(塗壁)という怪。夜道を歩いていると、目の前に壁ができてすすめなくなる。これにあったときは、足元を棒で払えばのがれられるという。フスマ(襖)、ノブスマ(野襖)、フトンカブセ(布団被せ)なども同様で、場合によっては、前後左右の視界が奪われる。

タヌキが正体だともいい、カヤツリタヌキ(蚊帳吊り狸)、ついたてだぬき(衝立て狸)ともいわれる。

余談だが、同様の怪は台湾にもあり、中国語で「鬼撞牆(グイダンチャン)という。丹念に探せば、外国にも例は多いのかもしれない。

水木しげるは、戦争中、ニューギニアで同種の怪にあったという。

 

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