狸の説話 狐にくらべて、古代中世における狸の話しは数が少ない。『古今著聞集』巻十七には狸が化け、人を害する話が載っている(六〇二、六〇三、六〇七、六〇八)。『今昔物語集』にも「狐狸」が人に悪戯を働くも…
江戸城の明け渡し 東征軍本体が駿府に迫ったころ、将軍慶喜は上野寛永寺にこもって恭順の意を表し、徳川家の救済と家名の存続を嘆願していた。その慶喜を意を受け、さらに徳川陸軍総裁であった勝海舟の手紙をあずかって駿府に向かい、大総…
天狗 中世にもっとも勢力のあった妖怪は天狗であろう。天狗の獲描かれる代表的な作品をいくつか挙げれば『太平記』・『是害坊絵巻』『天狗童子』『七天狗絵』などがある。 天狗は基本的に仏敵として位…
酒呑童子 酒呑童子のような鬼は仏に敵対する立場にある。仏力を示されても恐れることなく、歯向かってくるところは身の程知らずというべきか、大胆不敵というべきか、ともかくおどろべく生き方をしている。…
相楽総三と赤報隊 東征軍本体が勇躍して進撃していたころ、別動隊として活躍する人々もいた。東山道を東へ進んだ赤報隊も、そのひとつである。その首領は、先に西郷隆盛の命を受けて、江戸市中の混乱に一役かった相…
ナマハゲ 民間伝承の中の鬼にナマハゲがいる。それは人間を威し、悪事を抑止する存在ともいえる。地獄で使役される獄卒もこれとにたところがある。獄卒がかくも恐ろしいのは、そうする…
鬼は妖怪か幽霊か鬼は、妖怪でもあり、幽霊でもあるという。『今昔物語集』に見えるる橋の上の鬼は、特定の場所(橋)に出没する点で妖怪の特徴を備えているとえる。棲家や出没時間は『金宿物語集』では多くの人里離れた…
説話文学に見られる妖怪 古代から中世にかけて成立した説話文学にも妖怪が登場する。 『日本霊異記』や『今昔物語集』をはじめ、古代から数多くの説話集が編集された。これらのなかには、様々な妖怪たちが描かれている…
記録の中の妖怪が示唆するもの 『日本書紀』『続日本書紀』という正史に記録された怪異現象をみてきた。妖怪が必ずしも人間に災いをなす存在ではなく、人の世に時折出現して人々を驚かせはするが、恨みつらみを抱いてで…
井上内親王平城京時代の末期に即位した弘仁天皇の宝亀七年(七七六)五月末〇災変がたびたび起こるので大祓をし、六百人もの僧をして宮中、朝堂で大般若経を読ませた。〇九月には、二〇ばかり毎夜、京中…