妖怪 ~民俗学の視点~
妖怪は神様である。 ~民俗学の妖怪研究 柳田 國男『妖怪談義』~
民俗学は妖怪も研究対象にする学問分野だと思われている。
そうしたイメージは、民俗学の祖といわれる柳田國男自身の著作に負うところも大きい。
柳田の妖怪論の多くは『妖怪談義』にまとめられている。
同書には明治末期から昭和初期に発表された論考30編と、妖怪の名前を集めた「妖怪名彙」が収録されている。
柳田は妖怪を常民の心意の変遷をたどる資料ととらえ、そこから日本人の心を明らかにしようとした。
その特徴は、①「各地の民俗資料を対象にする」、②「妖怪と幽霊を区別する」、③「妖怪を神への信仰の衰退(零落した神)として説明する」の3点にまとめられる。
現在の妖怪研究では、この②③は必ずしも支持されていない。
しかし現在の妖怪研究も、柳田を出発点として到達したものであることは疑いえない。
現在においても柳田國男の妖怪論と『妖怪談義』の重要性はうしなわれてはいないだろう。
そして、柳田が①をとりわけ強調したのは、同時代の2人の「妖怪研究者」を意識してのことと考えられる。
その2人とは、哲学者の井上円了と風俗史学者の江場務であった。
民俗学をきっちり学んだわけではないのですが、②「妖怪と幽霊を区別する」は、別物に思えますが。
③「妖怪を神への信仰の衰退(零落した神)」として説明する」は、古代では言えそうですが、時代が下がり、江戸時代の妖怪では、当てはまらないように思えます。
いづれにしても、柳田國男の「妖怪と幽霊の定義」については、なるほどと思いました。
自然豊かな日本の国に、様々な妖怪が住んでいる。出会いたくなければ、行かなければよい。