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  1. 猪苗代城の妖怪・亀姫
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歴史ネタ帖

お亀ちゃんの話

 

 

日橋川から猪苗代湖を望む (木々の間の向こう側に見えるのが猪苗代湖)

 

 

 お亀ちゃんの話

 むかし、むかし、猪苗代湖の北側では、猪苗代城もあり、それなりに豊かに暮らしてました。

 

 ただ、困ったことがありました。それは、日橋川にかかる橋が毎年洪水で流されてしまう事でした。

 

 唯一、会津へ向かう近道ですが、この日橋川にかかる橋がないと、暮らしや商いに困ります。

 

 今年も、数年もっていた橋が半分壊れかけています。

 

 村人たちは、もう、石橋をつくるしかないと話し合っていました。

 

 城代さまに相談しよう。村人たちは、御城の御城代様に会いに出かけました。

 

 御城代さまは、また若く誠実な青年でした。

 

 村人が困っているなら、会津の殿様にも普請の経費をいくらかでも援助してもらえるように話してみようとおっしゃりました。

 

 そんなこんなで、ある人が言い始めました。

 

 やはり、人柱をたてることにしよう。数年来、止めていたことではあるが、この石橋をつくる際にはどうしても、人柱を立てて丈夫な橋にする必要がある。 

 

 他の村人達も、「そうだ、そうだ、そうしよう」と言い始めました。

 

 数ケ村の代表か、クジ曳きをして〇〇村が当たりました。

 

 この村には、年頃の娘が2人いました。

 

 ある日、この村の娘二人が御城代に会うことになりました。

 

 御城代も、人柱にたつことは「村のため」でもあるが、その重大なことを話す必要があると考えたのです。

 

 その日がやってきました。村のお亀ちゃんとお鶴ちゃんです。

 

 二人は仲良しで、年もちかいので、よく子供の頃からあそんだり、助け合ったりしてました。

 

 この二人が城に呼ばれ、御城代にお目見えし、御城代から日橋川に石橋をかけるにあたり人柱が必要になったことや、これからの説明がありました。この時代にしては珍しい事でした。

 

 優しく、話しかけられて、「お亀ちゃん、お鶴ちゃん」ポーとなってしまいました。

 

 これが、「初恋」なんてしりません。心のやさしいお亀ちゃんは、思いました。

 

 私が役に立ては、御城代さまも喜んでくれる。ただ、ひたむきな一途な思いでした。

 

 それが、どうゆうことになるとは実際には、思いもよらなかったのです。

 

 お鶴ちゃんは、思うひとがいました。村の若者です。若者は、どうしても所帯をもち一緒に暮らそういいます。

 

 お鶴ちゃんと村の若者は、一夜を過ごしてしまいました。

 

 こうして、お亀ちゃんだけが残ってしまいました。

 

 また、数日後に、御城代に呼ばれたお亀ちゃんは、御城代から優しい言葉をかけられます。

 

 そなたは、何の花が好きなのだ?

 

 お亀ちゃんはは、「私は、アザミの花が好きです」

 

 「わかった。私は、そなたの命日にアザミの花を橋のたもとにそなえよう」

 

 お亀ちゃんは、なんとなく、悲しく、なんとなく嬉しくもありました。

 

 お亀ちゃんの両親は、嘆き悲しみましたが、どうしようもありません。

 

 これを断れば、村八分になります。お母さんは、村のお不動さまに泣きながら、お参りし、お父さんは、下を向きながら農作業をして涙を流すしかありませんでした。

 

とうとう、その日がやってきました。

 

御城代様が用意した、絹の晴れ着をきて、髪を綺麗に結い、新しい草履をはいたお亀ちゃんは、御姫様のように見えました。

 

お母さん、お父さんは、泣きながら「お亀やー、お亀やー、」と泣くばかりです。

 

お亀ちゃんも人柱になり、もがき苦しみ、泥水が口に入り、息が出来なくなり意識がなくなりました。

 

数か月後に、立派な石橋が架かりました。

 

村人たちも、御城代も、会津の殿様も、大喜びです。

 

そなん、こんなで数年経ちました。

 

お亀ちゃんのお父さん、お母さんは、はやり病で相次いでなくなり、家は傾きあばら家となってしまいました。

 

石橋を通るひとが、楽しそうです。

 

あれ、あれはお鶴ちゃんと若者です、小さな子供が歩いてます。

 

あそこには、御城代様、殿様からの紹介で昨年結婚したのでした。

 

御城代様も、仕事が忙しく、お亀ちゃんとのアザミの花の約束を忘れてしまいました。

 

お亀ちゃんのことは、お母さんが活きていた頃は花をそえて、弔う人もいましたが、もうすっかりわすれられてしまったのでした。

 

まだ、恋心に未練があったお亀ちゃん、こんな状況を悲しみ、空から眺めて、怒りの塊があつまり、とうとう優しいお亀ちゃんは、鬼に魂をうってしまったのです。御城代さまに会いたい、ただそれだけでした。

 

だれにも、弔われることなく、未練を残して世をさってしまったお亀ちゃんは、こうして「妖怪亀姫」となっていったのでした。

 

妖怪亀姫になってからは、性格変わってしまいました。

 

自分の家は、もう朽ち果ててありません。行くところが無いので、「そうだ、御城代様のいる御城に住む」

 

そう決めて、猪苗代城に住むことになりました。

 

そう、そう、それから、お亀ちゃんが、まだ村で生活していたころに、お腹を空かせた「むじな」にご飯をあげたことがありました。

 

この狢は、数年前に、お侍さんから「むごい仕打ち」をうけてなくなっていました。

 

この狢も、妖怪となっていましたので、お亀ちゃんが「妖怪亀姫」となってからは、召使のように仕えることになりました。

 

 

十六橋図(日橋川橋)  『新編会津風土記』より転載

 

以上、私の創作話です。

 妖怪亀姫様、猪苗代城のお嬢様の誕生秘話ですが、勝手な妄想劇場でした。

 

 

 

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