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  1. 猪苗代城の妖怪・亀姫
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歴史ネタ帖

妖怪と幽霊の違い 

妖怪と幽霊の違い

 化物(妖怪)と幽霊の違いは、第一に化物(妖怪)は出現する場処がたいていは定まっていた。避けてそのあたりを通らぬことにすれば、一生出くわさずにすますこともできたのである。これに反して幽霊の方は、足がないという説もあるにかかわらず、てくてくと向こうからやって来た。かれに狙われたら、百里も遠くへにげていても追い掛けられる。そんな事は先ず化物には絶対にないと言ってよろしい。第二には化物(妖怪)は相手をえらばず、むしろ平々凡々の多数に向かって、交渉を開こうとしていたかに見えるに反して、一方(幽霊)はただこれぞと思う者だけに思い知らせようとする。従うて平生心掛けが殊勝で、何らやましい所のないわれわれには、聴けば恐ろしかったろうと同情するるものの、前以て心配しなければならぬような問題ではないので、たまたま真っ暗な野路などをあるいて、出やしないかなどとびくびくする人は、もしも恨まれてるような事をした覚えがないとすれば、それはやはり二種の名称を混同しているのである。最後にもう一つ、これも肝要な区別は時刻であるが、幽霊は丑みつの鐘が陰にこもって響く頃などに、そろそろ戸をたたいたり屏風を掻きのけたりするというに反して、一方(妖怪)は他にもいろいろの折がある。器量のある化物(妖怪)なら、日昼でも四辺を暗くして出て来るが、先ず都合のよさそうなのは宵と暁の薄明かりであった。人にみられて怖がられるためには、少なくとも夜ふけて草木も眠るという暗闇の中へ、出かけて見た所が商売にならない。しかも一方には晩方の幽霊などというものは、昔から聞いたためしがないのである。

 柳田國男著『妖怪談義』

 これを簡単に纏めると

「その相違の第一は出現する場所で、オバケ(妖怪)はきまっているが、幽霊は追いかけてくる。第二にオバケ(妖怪)は相手を選ばぬが、幽霊は対象がきまっている。第三は時刻で、幽霊が丑満の頃とすれば、オバケ(妖怪)は宵と暁の薄明に乗ずるというのである。」

※(妖怪)・(幽霊)の文言は筆者が加えた。

 亀姫様は化物ではなく、美しい妖怪ですから。

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