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歴史ネタ帖

安政の大獄 

安政の大獄

 幕府に対する反対の声が高まる中で、大老・井伊直弼は、これをだまってみていたわけではなかった。

 彼は、幕府の力を示し、その威信を高めるためにも、反対派をおさえこもうとした。そのために、尾張藩主・徳川慶勝、水戸藩の徳川斉昭や藩主・徳川慶篤、福士藩主・松平慶永らを謹慎処分にした。いずれも徳川将軍との結びつきが深い大名であるが、井伊直弼は容赦をしなかったのである。
 さらに直弼は、公卿たちに攘夷をすすめ、幕府反対意見を強めていた志士たちが次々にとらえられた。梅田雲浜・頼三樹三郎らもその中にふくまれている。西郷吉之助は、勤王の僧月照とともに薩摩に逃れたが、そのあと海に飛び込んで自殺しようとする事件を起こした。​

 

※ 安政の大獄
大老井伊直弼が、桜田門外で襲われた事件の撮影のために桜田門を復元し撮影した映画を大分前にみましたが、リアルすぎて「・・・・」井伊直弼の首が、コロンコロンと転がる。
ゾーーーッとした覚えがあります、あっこわ。
 昔の武士は刀でたたかいましたからね。

 

安政の大獄

 江戸では松平慶永の命を受けて活躍していた橋本左内がとらえられた。将軍の跡継ぎ問題で、直弼らの考えと違う行動をしたのは不都合だというのである。長州藩(山口県)に対しては、吉田松陰をとらえて江戸に送れ、という命令がとどいた。「外国に渡ろうとした罪で謹慎させられている身なのに、攘夷論をとなえたり、天皇を中心とした政治を行えなどと主張したりしたのがよくない」というのであった。

 こうしてとらえられた志士の多くは、死刑の罰を受けて、この世を去っていった。

 井伊直弼は、公卿といえども厳しく罰しようとした。そのため、一時は景気のよかった公卿たちも、すっかりしょげてしまった。また、このような中で孝明天皇も、幕府に強く意見を述べることができなくなってきた。
 

☆吉田松陰さんと井伊直弼さんは、亡くなってからご近所になりました。

※松陰神社・・・・東京都世田谷区若林に所在する。付近には国士舘大学(世田谷キャンパス)や世田谷区役所がある。東急世田谷線松陰神社前駅下車。

ここは、かつて長州藩主の別邸があった。松陰が安政の大獄で刑死した4年後文久3年(1863)、高杉晋作など松陰の門人によって小塚原の回向院にあった松陰の墓が当地に改葬された。明治15年(1882)11月21日、門下の人々によって墓の側に松陰を祀る神社が創建された。



※豪徳寺・・・井伊直弼の墓がある。
東急世田谷線宮の坂駅下車5分・小田急線豪徳寺下車10分

本寺付近は、中世の武蔵吉良氏の居館。天正18(1590)年の小田原征伐で廃城となった世田谷城の主要部だったとされる。文明12(1480)年、世田谷城主吉良政忠が伯母で頼高の娘である弘徳院のために「弘徳院」と称する庵を結んだ。当初は臨済宗に属していたが、天正12(1584)年、曹洞宗に転じる。寛永10(1633)年、彦根藩主井伊直孝が井伊氏の菩提寺として伽藍を創建し整備した。招き猫発祥の寺としても有名。

 

安政の大獄

 幕府の使いが条約の調印のいきさつを説明しにきたときにも、「条約を調印したわけは、よくわかった。条約を結んでも、いずれは外国人を遠ざけて、前のように鎖国の世の中に戻すということだから、結局は天皇の考えと同じになるわけであり、安心した。このうえは一日も早くよい方法を考えて、鎖国の世に戻すように努力してほい」

と返事をするのでになってしまったのである。

 井伊直弼の行ったこのような一連の弾圧のことを、年号にちなんで、「安政の大獄」と呼んでいる。
 しかし、すべての人々が直弼の力の前におさえつけられてしまったわけではない。直弼のやり方にいっそう憤慨し、彼を暗殺しようと計画する者もいた。
 その計画が実行されたのは、1860年(万延1)3月3日のことである。この日、江戸城に入ろうとした井伊直弼の一行は、桜田門のあたりで待ち受けた水戸・薩摩の浪士に襲われた。朝からの雪で一帯が白一色にうまっている中を、18人の浪士たちが直弼の行列に切り込んできたのである。この襲撃で直弼はついに首を切られた。幕府の権威を高めようと力を尽くし、「井伊の赤鬼」とおそれられた直弼の最後は、まことにあっけないものであった。

 

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