猪苗代湖の主
猪苗代湖の主
昔々、猪苗代湖畔の村におやかっつぁまの家さ、1人の若いあんちゃんが来て、「働かしてもらわんにべか」というもんだから、おやかっつぁまはたいしたドケチだったんで「飯はくわせっけど、住み込みでねーど」と言うと、「おら どんなことでもすっから」というもんだから雇うことにしたんだ。
このあんちゃんは、人の2倍の仕事をしたんだと。
ある日、特別に暑い日があっておやかっつぁまは、「今日はやすまんしょ」と声かけっと珍しく「そんじゃ せっかくの言葉だから」と言って自分の部屋に行ったもも夕方になっても出てこね。
おやかっつぁま心配になって部屋に様子みさいってみたところ、息を吸うだけの片イビキかいてねていたんだど。
もしやと思っておやかっつぁまは部屋の戸をすこーし開けて中を見てみたところ、でっけー蛇がとぐろ巻いて寝ていたんだ。
すると間もなく部屋から出てきて、「長いことお世話になりました。正体をみられた上はこのまま居るわけにはいきません。
実は私はこの猪苗代湖に長く住んでいた蛇です。ある時神様から、会津朴地の方を治めてほしいと言われてしばらくそちらに行っていたところ、私の留守をいい事にウナギどもが猪苗代湖で悪さをし放題でしたので、再び猪苗代湖を治めよと言われ、人間に身を変えて様子を見ていたところです。
そこで一つお願いがあります。床の間にあるその刀を貸していただけないでしょうか。
明日、ウナギと決闘します。私が勝ったら湖はウナギの血で赤く染まるでしょう。ぜひ立ち会ってください。」 と言って家を出ていったそうだ。
おやかっつぁまは言われた通り、朝湖にでてみっと赤くそまっいいたっつーことだ。
それからというものは、湖は平和な日がながーく続いたということだなし。